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私はこれまで、いじめ自殺裁判に、弁護士として関わってきました。“もう死なないで。悲しい裁判は私たちで最後にして”。子どもの自殺に直面した親御さんが発したこの言葉。この言葉は、今の私にとっても、行動のモチベーションになっています。


子どもも、政治の犠牲者。

いじめの現場を知るにつけ、その根本には政治が関わっている。いじめ自殺の犠牲者たちは、政治の犠牲者に他ならないのだ、という思いがますます強まっています。

子どもたちの “いじめ”。パシリ、カツアゲ、シカト。。。どの子も被害者になるし、加害者にもなりうる。こういう、いまの子どもたちが巻き込まれている状況は、競争・格差(教育の不平等)社会が生む緊張と抑圧、ストレスによってますます強まっています。まさしく子どもたちも政治の犠牲者なのです。

この反省なしに、ただ「規範意識」や「道徳心」を上から押しつけてみても“いじめ”はなくせません。政治の舵をきりかえ、競争・弱肉強食・弱いものがさらに弱いものを叩く社会から、他者との「共生」社会への思い切った進路転換をはかることが何よりも大切です。

いじめの被害者は、長期にわたり心が傷付けられた結果、自分の存在そのものを否定するようになっていきます。“自己肯定感”がなくなっていき、自分はいるだけで迷惑な存在なんじゃないかと思い始めていきます。

心の傷を受けたものは、周りのサポートがなければ立ち直ることはできません。ところが、これだけいじめ問題が顕在化しているのに、サポート体制は実に心もとないのが現実です。

世間では、学校の問題といえば「学力低下」が最も注目され、心の傷は一部の子の問題と捉えられています。しかし、子どもたちの心の傷の問題は深刻です。対症療法ばかりでなく、いじめをなくすために学校・社会を変えるという根治療法も必要であるのに、対症療法でさえ全く不備な状態です。

教育の問題を語るときに、政府の審議会などでは「家庭が悪い」「母親が悪い」という声が多く聞かれます。しかし、子どもたちの心の傷の問題は、そんなに簡単な問題ではないし、もっと深刻な問題です。


子どもたちには今、居場所が必要です。

現政権のいう「改革」とは、いつも予算をカットすることです。安倍首相は、教育予算削減に関し、一律カットではなく「メリハリをつける」といっています。しかし、その実態は、政財界の要請に応えて、一部の“できる子”を将来の国家的指導者や専門研究者として育成するために予算を重点配分すること。格差是正どころか、人生の出発点から教育格差(不平等)を押し付けられ、格差社会は深刻化する一方です。

欧米諸国と比べても貧弱な、日本の教育予算。教育にお金をかけない国は、「先進国」でも「文明国」でも、ましてや「美しい国」でもありません。GDPに対して3.5%しかない教育予算を、10ヵ年計画で拡充していくことを提案します。

“いじめ”の現場体験から言えることは、自分に何らかの居場所があると、実際に“いじめ”にあっている子が自殺を思いとどまったり、先延ばしにするなど、最悪の事態が避けられるケースが多い、ということです。

居場所ということになると、現代っ子にはネットが大きなウェートをしめています。ネット有害論もありますが、だからと言ってネットをすべて規制するのでは子どもの居場所がなくなってしまいます。自分が子どもの頃を思い出してみて下さい。親に隠れて、こっそり何かをしたという経験はありませんか?

しかしネットは、いわば最後の逃げ場。子どもがネットに依存してしまうのも、やはり学校や家庭に居場所が見つからないからではないでしようか。ネット規制に走る前に、「現実」の居場所を子どもたちに保障することが先決です。多くの子どもたちが、保健室と保健の先生に“安心”を求めている実態から、もっと学ぶべきだと思います。


教育予算を「国際標準」の対GDP比5%に引き上げ。
義務教育で20人学級の実現。教員定数の増枠。
すべての学校に正規雇用の副担任・スクールカウンセラーや臨床心理士の設置
すべての学校の保健室の拡充

杉浦ひとみのレジュメです。
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精神科医の香山リカさんと“いじめ”に関する対談を行いました。当日の様子はこちら


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